複合機のコピー用紙が無料?【カウンター料金に上乗せのカラクリ】
業務用フルオプションA3カラー複合機を月額6,900円でリース・販売している株式会社じむやの堀田です。
今回はコピー用紙無料の話題についてお話します。
最近ではかなり減りましたが、少し前までは印刷した枚数分のコピー用紙を無料でプレゼント!というサービスが流行ってました。
目次
コピー用紙の無料サービスとは?
お客様からしたら、「カウンター料金+コピー用紙」になるところがカウンター料金のみで出来るのですから、初めて聞いた方は食いつきは良いでしょう。
維持費(ランニングコスト)は主に機械代(リース代)+保守料金+消耗品(紙等)になります
引用元:コピー機(複合機)の維持費とは?
実際に私が独立する前の正社員だった時代に、一度だけこのサービスを売りましたが、どんな提案をしてもメリットを感じてもらえなかった社長が唯一関心を抱いて頂き、受注する事が出来ました。
コピー用紙無料サービスの歴史
サービスの歴史についても触れておきます。コピー用紙無料サービスは、2000年代後半から2010年代にかけて複合機業界で流行した販売戦略です。
2009年5月、コピー機の販売やレンタルを手がける「シャープドキュメント21ヨシダ」が「とくぺぱ」という名称で無料オフィスADペーパーサービスを開始したのがことの始まりです。
このサービスは、コピー用紙の裏面に広告を掲載することで無料配布を実現したものですが、時代背景的に新規の法人営業が難しくなってきた時期です。
利用したい企業はネットで登録するだけで、毎月1回コピー用紙が無料で配送されます。上限は社内で通常利用する紙の10%程度で、配送料もかかりませんでした。
1セット400枚入りで8種類の広告が掲載されていましたが、広告量が少ない場合は受け取れる量が減ることもありました。
「とくぺぱ」サービスは急速に普及し、開始時は500社程度だった利用企業数が、2010年3月には4800社にまで拡大。多くの企業が経費削減の手段としてこのサービスを活用したのです。
コピー用紙無料サービスは、経費削減に役立つだけでなく、小さな取り組みが社内の励みになるという声もありました。こういった社会の流れをきっかけに類似のサービスが展開されていくことになります。
2010年代後半になると、これらのサービスは減少傾向に転じます。その背景には、ペーパーレス化の進展やデジタル化の影響があると考えられます。
また、企業のコスト意識の向上により、見かけ上の無料サービスよりも実質的なコスト削減につながる選択肢が求められるようになったことも要因の一つです。
コピー用紙無料サービスは、複合機業界の販売戦略の一つの時代を象徴するものでしたが、業界のニーズの変化によってその役割を終えていったのです。
デメリットはあるの?
弊社に複合機の見積もり依頼して頂く方で、よく質問があるのが「御社はコピー用紙無料はやってないの?」と聞かれます。
弊社ではこの様なサービスは行っておりません。
なぜならば、コピー用紙のサービスはカウンター料金に上乗せされているだけだからです。
モノクロカウンターが3円だとすると「モノクロカウンター2円+コピー用紙1円」という計算で出されております。
コピー用紙も安ければA4で0.5円とかで購入できますからね。
弊社はなるべく明瞭な会計にする為、リース料金とカウンター料金は激安で出しており、カウンター料金に関してはストックを放棄してカウンター料金を落としているので、そもそも上乗せするという仕組みが作れないのです。
そして、コピー用紙サービスをやっている会社の見積もりを見ていただけたら分かりますが、カウンター料金はモノクロで2.5円以上になっているはずです。
もしコピー用紙無料で尚且カウンターが1円とかでしたら、是非とも弊社を代理店にして頂きたいと思います。
なので、違う切り返しで複合機に興味がないお客様を振り向かせるには、うってつけのでサービスではありますが、そもそも何も得をしていないので、よく考えればそこまでメリットのある提案ではないのですね。
このサービス自体も冒頭で書いた通り、今はあまり見かけないです。
最近の主流で言えば、カウンター料金が無料という切り口も登場しておりますが、もちろんこれにも裏はあります。
「カウンター料金0円!の落とし穴【別で費用が発生する】」
「インク使い放題定額プリンターの評判【OA機器社長が切る!】」
の記事で内容を見て頂ければと思っております。
OA機器業界はあの手この手でユーザーを増やそうとしてますが、やはり普通のリース契約と普通のカウンター契約が結局のところトータル的に安くできるんですね。
今後の複合機業界とコピー用紙について
複合機業界は、デジタル化とペーパーレス化の進展により大きな転換期を迎えています。かつての「コピー用紙無料サービス」のような単純な戦略では、もはや市場での優位性を保つことが難しいのです。
複合機業界の市場と課題
複合機業界は現在、市場動向と時代の変化に伴う課題に直面しています。特に先進国では複合機の普及が飽和状態に達していますし、ペーパーレス化の進行により紙の需要はますます減少しています。
一部の予測では、2030年までに市場規模が半分以下になる可能性も指摘されているほどです。
さらに、デジタル化の影響も顕著です。クラウドストレージやデジタル文書管理システムの普及が進んだことで、印刷需要も変化してきています。
これらの課題に対し、業界は様々な対応策を講じています。新たな価値創造として、AIを活用したスマート文書管理システムの開発やクラウドサービスとの統合、セキュリティ機能の強化などが進められています。
AIを活用したスマート文書管理システムの具体例
AIを活用したスマート文書管理システムの具体例には以下のようなものがあります。
- 自動分類・抽出システム
- AI-OCR
- AI類似図面検索
これらのシステムにより、企業は文書管理の効率を大幅に向上させることができ、業務生産性を高めることが可能となるのです。
自動分類・抽出システム
AIが大量の文書を自動的に分類し、必要な情報を抽出します。手作業での分類や登録にかかる時間を大幅に削減できます。
AI-OCR
手書き文字を高精度で読み取り、テキストデータ化します。帳票のレイアウトやキーワードを設定しておくことで、特定の項目を自動的に抽出することも可能です。
AI類似図面検索
AIが図面の形状を学習し、類似した図面を瞬時に検索します。目視での探索よりも効率的に類似図面を見つけ出すことができます。
今後の展望
複合機業界は、単なる印刷機器の提供から、総合的な文書管理ソリューションへと進化することが求められています。IoT、AI、クラウドなどの最新技術を活用し、顧客のニーズに合わせてパーソナライズされたサービスを提供することが重要です。
また、環境への配慮やコスト削減、生産性向上、セキュリティ強化など、多角的な視点からの提案ができる企業が、今後の市場で優位に立つでしょう。
複合機業界は確かに厳しい状況に直面していますが、イノベーションと戦略的な事業展開によって、新たな成長の機会を見出すことができるはずです。今後の動向から目が離せません。
さいごに|複合機選びも時代に合わせる必要がある!
本記事では、複合機におけるコピー用紙無料サービスの歴史、また今後の複合機業界の展望を解説してきました。
2000年代後半から2010年代にかけて複合機業界で流行した経費削減の手段でしたが、実質的なコスト削減効果は限定的でした。
現在、複合機業界はAIやクラウドを活用したスマート文書管理システムの開発に注力しており、単なる印刷機器の提供から総合的な文書管理ソリューションへと進化しています。
複合機選びにおいては、表面的な「無料」サービスに惑わされず、長期的な視点で自社に最適な選択をすることが重要です。
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