【2024年最新】複合機市場の中国撤退の真相を徹底考察!
近年、中国の複合機市場から大手メーカーが撤退するなど、業界全体が揺れています。
本記事では、中国の複合機市場から撤退が相次ぐ社会的背景について考察しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
目次
中国の複合機市場から撤退が相次ぐ社会的背景を考察!
複合機はコピーやプリンター、スキャナー、FAXなどの複数の事務機器の機能が1つにまとめられている事務機器です。その複合機の市場には、数多くのメーカーが参入しています。
日本国内でも10社以上のメーカーが市場に参入しており、なかでも特に国内シェア率が高い企業が下記のとおりです。
- 富士フイルムビジネスイノベーション
- Cannon
- Ricoh
- 京セラ
- SHARP
- ムラテック
- 東芝
- コニカミノルタ
国内シェア率が高いメーカーの何社かは、国内の複合機市場の規模が小さいといわれてきた中国市場に進出していました。
しかし、ここ最近、中国市場からの撤退が相次いでいるようです。
例えば、上記で紹介した国内シェア率が高いメーカーの富士フィルムやCannonが、すでに中国市場から撤退すると発表しています。
ここでは、そんな富士フィルムとCannonの中国市場撤退について紹介しています。
『富士フイルム系の中国市場撤退』
現在の富士フイルムホールディングスと、アメリカのゼロックス社のイギリス現地法人であるランク・ゼロックスの合弁会社として1962年に誕生した富士フイルムビジネスイノベーション。
複合機の国内販売台数シェアでは国内第3位ですが、色彩の再現力が高く、原稿のクオリティを下げることがない高画質な印刷に重きを置いていることから、国内シェアはトップとなっています。
そんな富士フイルムビジネスイノベーションは、中国市場のニーズをタイムリーにとらえ、中国の複合機市場に進出。
上海に中国営業本部を設置した他、2012年には中国市場向けの商品開発機能を強化するために、2013年までに現地開発者を現在の約30名から70名に増強するなど発表していました。
しかし2022年7月20日に突如、中国市場から撤退し現地でオフィス機器などを手掛けていた億和精密工業控股に複合機工場を売却すると発表。このことが、日本経済新聞に取り上げられました。
さらに同年10月24日には、売却相手が売却後に生産継続するのは困難との判断から、工場閉鎖の方針を固めたと発表したのです。
現在、2023年5月末で工場での生産活動は終了し、2024年半ばに工場を閉鎖する予定となっています。
『Canonの中国市場撤退』
高画質で操作性がよく、しかも省エネ設計で環境やオフィスにやさしいことで高い人気を誇っているCanonの複合機。国内だけでなく、海外でも人気が高く、レーザー複合機では世界No.2のシェアを誇っています。
Cannonも中国市場のニーズをタイムリーにとらえ、中国市場に進出しています。
例えば、2009年には中国での専用機種の発売に踏み切っていますし、その翌年には先進国で展開していた複合機の9年ぶりの新ブランド「イメージランナー・アドバンス」を中国市場に投入するなどしていました。
そんなCannonも、中国市場からの撤退の動きを見せているようです。
また過去には、2022年1月にロイターが「Cannonがデジタルカメラなどを製造する中国・珠海工場(広東省)の閉鎖を検討していることを明らかにした」と報じています。
大手複合機メーカーが中国市場から撤退する3つの理由を解説!
中国に進出していた日本の複合機メーカーが中国市場から撤退の動きをみせているのは、なぜなのでしょうか。
市場から撤退する理由として、中国政府が日本を含めた外国オフィス機器メーカーに対し、機器の設計や製造の全工程を中国内で行うよう定める新たな規制を導入する動きをみせていることが挙げられます。
しかし、日本の複合機の技術を狙った中国の新規制導入による技術流出を防ぐこと以外にも、下記のような影響も受けています。
- 急速な円安
- 中国における人件費の高騰
- 法人税率の上昇
それでは、詳しくみていきましょう。
『急速な円安(人民元高)』
日本経済を冷え込ませている急速な円安。円安というとドルとの関係ばかり注目してしまいますが、中国の通貨、人民元に対しても値下がりしました。
円安人民元高の加速で、中国に生産拠点を置いていた日本のさまざまな企業・メーカーが、拠点を国内に移す動きをみせています。
『中国における人件費の高騰』
日本のさまざまな企業・メーカーが中国に生産拠点を置いていた理由は、これまで中国は所得が低かったことから安価な労働力が期待できたためです。
しかし、今や世界第2位の経済大国に発展した中国は、労働者の賃金上昇が進みました。
その結果、中国はもはや魅力的な低賃金の労働力が期待できる国ではなくなったのです。
日本と中国の賃金格差が段々となくなってきたことも、大手複合機メーカーが中国市場から撤退する理由にあるようです。
『法人税率の上昇』
法人税とは、法人の利益に課される税金のこと。黒字の所得に対する税金であることと、支払い方法が直接税であることが特徴的です。
また、法人の所得がどれだけ黒字となっても、最大税率以上の税率がかからないところはメリットといえます。
日本の場合、年間所得800万円以下と年間所得800万円超とで税率が変わっており最大税率は23.4%。実は平成元年の基本税率は40%で、中小法人の軽減税率は29%でした。
その後は30年間で7回減税が行われ、23.4%まで低下しました。
それに対して、中国の法人税(企業取得税)の税率は原則では25%、小規模企業の企業所得税率は5%免除され20%です。
以前は日本が高かったですが、減税によってほとんど変わらなくなり、中国が小規模企業に対して2019年~2021年の3年間行っていた大幅減税がなくなってしまったことも要因として考えられます。
さいごに|中国撤退により複合機市場に動揺が走る!
今回は、大手複合機メーカーが中国市場から相次いで撤退している社会的背景について考察してきました。
この動きは加速するものと予測されており、世界的な経済ショックも想定されるなか業界的にも不安定な状況が続きます。
最善の選択ができるよう、最新の市場の動向は常にチェックしておきましょう。
無料の予約システム「タダリザーブ」
最新記事 by 堀田直義 (全て見る)
- 複合機の月間印刷枚数の目安は?プロが業種毎に相場枚数をご紹介! - 2024年11月19日
- 複合機の原稿カバーの清掃は必要?手順と掃除の注意点について解説! - 2024年11月18日
- 複合機がオフラインとなる4つの原因とは?印刷の対処法も解説! - 2024年11月14日
- 複合機は保守契約なしにする事は出来る?おすすめはしないが可能 - 2024年11月13日
- 複合機を現金購入で買うと保守が出来ない?リース保証とカウンター保守の違いをご紹介! - 2024年11月11日