染料インクと顔料インクの違いは?複合機で印刷した時の特徴も紹介!
業務用フルオプションA3カラー複合機を月額6,900円でリース・販売している株式会社じむやの堀田です。
本記事では、複合機における染料インクと顔料インクの違いについて解説しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
目次
複合機における「顔料インク」と「染料インク」の違いは?
そもそも、インクとは複合機で紙に印字する時に使用される液体のことです。
インクは大きく分けて「顔料インク」と「染料インク」に分かれ、両者の違いは以下のようになります。
「顔料インク」は塗料の粒子大きく水に溶け切っていないため、紙の表面に定着して印刷をする
複合機から噴射して印刷するという方法は一緒ですが、インクの性質の違いにより特徴が変わってきます。
ここでは、さらに顔料インクと染料インクについて深堀していきます。
『顔料インクとは』
顔料インクは、色素が液体に分散したタイプのインクで、特に耐久性や安定性に優れた特徴があります。
通常、インクの粒子は紙の表面に付着するため、発色が鮮やかでありながらも滲みが少なく、シャープでクリアな印刷ができます。
顔料インクは染料インクと比較して光や水に対する耐性が強いため、長期間保存する文書や耐候性が求められる印刷物におすすめです。
例えば、契約書や公式文書など、長期間保管しても色あせないことが求められる印刷物には顔料インクがよく使用されます。
また、色の発色が鮮やかでもあるため、写真印刷やアートワーク、プレゼンテーション資料など色再現の精度が重要な場合にも顔料インクは使用されます。
さらに、ラベル印刷やシールにも使用され、耐久性が高いことから屋外で使用されることが多いです。
ただし、顔料インクには下記のように、いくつかデメリットもあります。
- 染料インクよりもコストが高く、乾燥時間が長くなる傾向がある
- インクの粒子が大きいため、プリンターのヘッドが詰まりやすくなることもある
- 定期的なメンテナンスが必要となる場合がある
顔料インクは高い耐久性と色の鮮やかさが求められる印刷におすすめですが、使用する際にはコストや乾燥時間、メンテナンス面も考慮しなければなりません。
『染料インクとは』
染料インクは、顔料インクとは異なり、色素(染料)が液体に完全に溶け込んでいるタイプのインクです。
この特性から、染料インクは紙に染み込み、色が鮮やかで深みのある発色をします。
色合いが豊かで、写真やイラストなどの印刷におすすめ。つまり、染料インクの大きな特徴は発色の鮮やかさです。
紙に染み込んでいくため、色が自然で深みがあり、印刷物が非常に鮮明に仕上がります。
グラデーションや細かい色の再現が得意で、写真印刷やカラフルなグラフィックデザインの印刷にはおすすめです。
光沢のある写真用紙で使用すると、より色の鮮やかさを実感できます。
また、染料インクは顔料インクと比べると比較的安価であるため、コストパフォーマンスがよいというメリットがあります。
家庭や小規模なオフィス、コストを重視する用途では、このインクが選ばれることが多いです。
乾燥時間が速く、印刷後すぐに使用できるメリットもあります。
ただし、染料インクには下記のようないくつかのデメリットもあります。
- 耐久性が低いく光や水に弱い
- 長期間日光にさらされると色あせが起こりやすい
- 湿気が多い環境でもインクがにじんだり、ぼやけたりすることがある
これらが、長期間保存する文書や、屋外で使われるラベルなどには不向きである理由です。
また、紙に染み込んでいく特性上、染料インクで印刷された文書は滲みやすく紙の種類によっては予期しない滲みやぼやけが生じることもあります。
光沢紙や特定の種類の用紙との相性はよいものの、普通紙や再生紙などでは印刷品質が低下することがあるため注意しましょう。
染料インクは色鮮やかで美しい印刷ができるため、特に写真やカラフルなデザインの印刷におすすめです。
しかし、耐久性に欠けるため、長期間保存が求められる用途や、耐候性が必要な印刷物には向かないところは注意が必要です。
複合機の顔料インクと染料インクの特徴を比較解説!
顔料インク | 染料インク | |
使用する複合機 | ビジネスインクジェット複合機 | インクジェット複合機 |
印刷スピード | 〇 | × |
浸透性 | △ | ◎ |
耐水性 | 〇 | × |
再現性 | × | 〇 |
コスト | 〇 | ◎ |
上の表にざっくりと早見表を作りました。
トナーの場合はどうなの?という方もいらっしゃると思いますので、そっちも気になるという方は「複合機のトナーとは?インクジェットとの違いを11か所解説!」というコラムで違いをご説明していますので、そちらでご覧ください。
それでは、両者の違いを解説していきます。
『使用する複合機』
実は使用するインクによって名称が違ってきます。
顔料インク系の複合機は「ビジネスインクジェット複合機」、染料インク系の複合機は「インクジェット複合機」と呼ばれます。
ただ、一般的ではありますが、ビジネスインクジェット複合機にも染料系が使われる事がありますので、ご注意ください。
『印刷スピード』
顔料インクの方が印刷スピードが速いです。
顔料インクは紙の表面にインク粒子が留まるため、乾燥が速く、印刷後すぐに次の作業に移れるためです。
一方で、染料インクは紙の繊維に染み込むため乾燥に時間がかかり、全体的に印刷スピードが遅くなります。
顔料インクを使用する場合は、より迅速に印刷できます。
さらに詳しいことは、次の浸透性で説明します。
『浸透性』
浸透性とはインクが紙に染み込みやすいかどうかということです。
つまり、顔料インクと染料インクの浸透性の違いは、インクが紙にどれだけ浸透するかに影響します。
冒頭に説明した通り、顔料インクの方が染み込みにくい為、印字した時の「乾かす」という箇所を省略できます。
そもそも顔料インクは、インク粒子が紙の表面に留まるため、紙の内部にはほとんど浸透しません。
つまり、印刷後の乾燥が非常に速く、インクが紙に滲みづらいということ。急いで作業を進める場合や大量印刷を行う場面では、この染み込みにくさが有効です。
乾燥時間も短縮されるため、次の作業に早く移れるメリットは大きいです。
『耐水性』
浸透性がよい染料インクは、水に濡れた時の「滲み」も起きやすいということです。
一般的には、インクジェット複合機は滲みやすいと言われております。
『再現性』
今まで性能については顔料インクの方が良いように見えますが、この点だけ染料インクに負けています。
簡単に言うと、顔料インクを印字した時の文字のシャープさがあまりありません。
例えば、データが小さい画像を拡大してみると周りがギザギザになってみえることがありますが、そのような現象が顔料インクに現れます。
『コスト』
コストも染料インクに軍配が上がります。
つまり、顔料インクと染料インクのコストに関して、一般的に染料インクの方が安価ということ。その理由として、製造工程に違いがあります。
染料インクはその製造が比較的簡単でインクの成分も少ないため、コストを抑えることが可能。一方で、顔料インクは粒子を安定させるための製造工程が複雑で、顔料を適切に分散させる技術が必要です。
製造工程としては染料の方が簡単に作れるため、家庭用に向いており安く購入することができます。
【顔料インク&染料インク】仕事で使う場合はどっちがよいの?
個人的な感想としては顔料インクの方がよいと思います。
特徴としてトナー(レーザー)に近い性質を持っているため、染料インクよりは快適に印刷ができると思います。
「ビジネスインクジェット」と銘打っているので流石にこれは軍配でしょうね。
顔料インクと染料インクの違いを理解して複合機とインクジェット方式のプリンターを使い分ける!
オフィスでも業務中に複合機で印刷する機会もあり、規模や用途に応じて適切な機種を選ぶことは非常に重要です。
個人的には顔料インクの方がおすすめと前述しましたが、染料インクも一般的に使われます。
そもそも複合機とインクジェット複合機は、それぞれ違った特徴やメリットを持っており、使用目的に応じて選択することで業務における生産性向上に繋がりやすいです。
インクジェット複合機でも顔料インクや染料インクをそれぞれ、用途別に使い分けられれば管理面でも効率的です。
それでは、詳しくみていきましょう。
『インクジェット複合機との違い』
複合機は、プリント、コピー、スキャン、FAXなど複数の機能を一台でこなすことができる多機能デバイスです。
これに対して、インクジェット複合機は、主に印刷機能に特化しており、写真や文書を高品質で印刷することができます。
顔料インクの方がトナー(レーザー)に近い性質のため、染料インクよりも滲みにくい特性を持ちます。
インクジェット複合機での印刷時に滲みを気にする必要のないところはメリットです。
細かいインクの滴を用紙に吹き付けるインクジェット方式は、鮮やかな色彩と細かいディテールを再現することができます。
特に再現性のよさは染料インクならではの特徴といえます。
例えば、写真やグラフィックが豊富な資料を印刷する際におすすめ。また、インクジェット複合機は、さまざまな種類の用紙に対応しており、光沢紙や特殊紙で印刷すればなお色彩豊かで見栄えもよいです。
しかし、インクジェット複合機は、印刷コストが高くなる傾向があるためコスト面では注意しなければなりません。
インクカートリッジは消耗品であり、特にカラー印刷を頻繁に行う場合、ランニングコストが増加しやすいです。
一方で、複合機のメリットは、機能がひとまとめにしてあり使い勝手がよいところにあります。
一台で複数の機器の役割を果たすため、スペースを節約し、複数のデバイスを管理する手間を減らすこともできるでしょう。
また、オフィス環境では、文書のスキャンやFAX送信など、印刷以外の作業も頻繁に行われるため複合機が大変便利。一方、インクジェット複合機は、その印刷品質の高さで知られています。
そもそも複合機は、ビジネス用途での使用を考慮した設計がなされています。
トナーを使用するレーザープリンター式の複合機は、インクジェット複合機に比べて1ページあたりのコストが低いといえます。
最終的には、使用目的と予算に応じて、レーザープリンター式の複合機とインクジェット複合機のどちらを選ぶかを決定することが重要です。
業務において文書中心のビジネス用途であれば、複合機が適しているかもしれません。
一方で、高品質な写真やカラー資料の印刷が主な用途であれば、インクジェット複合機が優れた選択肢となるでしょう。
どちらの機器も、現代におけるオフィスの業務において印刷用途の幅に応えるための強みを持っていますので、自社に合った機種を選んでください。
『レーザータイプの複合機との違い』
一方で、レーザープリンターはトナーを使用しており、印刷速度が速く大量印刷に適しています。
顔料インクのように耐久性が高く、規模が大きめのオフィス環境におすすめです。
ただし、初期コストが高くカラープリントの品質はインクジェットに劣る場合がありますので、その点がデメリットといえます。
顔料インクと染料インクの特性からみたインクジェット複合機のメリットは?デメリットも解説!
インクジェット複合機は、導入している企業もよくみられます。
その利便性と柔軟性から、家庭だけでなくオフィスでも幅広く採用されています。
しかし、インクジェット複合機でも用いられている顔料インクや染料インクには、それぞれにメリットとデメリットも存在するため機種選びには十分な理解をしておくことも重要です。
それでは、詳しくみていきましょう。
『インクジェット複合機のメリット』
顔料インクや染料インクが用いられているインクジェット複合機のメリットを下記にまとめました。
- 高い色再現性
- 多様な印刷メディア
- 低い初期コスト
- コンパクトな設計
- 簡単なメンテナンス
- エコ機能と省エネ性能
インクジェット複合機、多色インクの仕組みを使用しており、色の再現性が非常に高いです。
これにより、写真やグラフィックの印刷に適しており、鮮やかな出力も可能。また、紙だけでなく布やCD/DVD、特殊な印刷メディアにも対応しているモデルが多く、幅広い用途に使用できるメリットもあります。
また、インクジェット複合機、レーザータイプの複合機と比較して、初期投資が少なく済む傾向にあります。
さらに、小型で軽量なモデルが多く、限られたスペースにも設置しやすいです。
カートリッジ交換が主なメンテナンスであり、自社でメンテナンスしやすいところもおすすめです。
ちなみに、最新型のインクジェット複合機やレーザープリンターには、エコ機能や省エネ性能が備わった機種も存在します。
例えば、エコモードで印刷することでインクやトナーの消費を抑えることも可能。オートパワーオフ機能により、使用していないときの電力消費を最小限に抑えることができます。
『インクジェット複合機のデメリット』
次に、インクジェット複合機のデメリットもまとめました。
- インクコスト
- 印刷速度
- 乾燥時間
- 長期保存には不向き
- メンテナンスの頻度
そもそもインクカートリッジは消耗品であり、頻繁に交換が必要。純正インクのコストが高いことが問題となることもあります。
また、レーザータイプの複合機に比べて印刷速度が遅い傾向にあり、大量印刷には向いていません。
それに、インクが紙に浸透し乾燥するまでに時間がかかるため、印刷後すぐに触るとにじみやかすれの原因になることもあります。
インクジェット複合機で印刷した文書は、時間が経つと色褪せやにじみが発生しやすく長期保存には不向きです。
さらに、プリントヘッドの詰まりなど、定期的なメンテナンスが必要なところもデメリットといえます。
インクジェット複合機を選択する際には、これらのメリットとデメリットを考慮し、用途に合った機種を選ばなければなりません。
例えば、高品質な写真を印刷したい場合や、特殊なメディアに印刷したい場合には、インクジェット複合機がおすすめ。
一方で、文書を大量に印刷するビジネス環境では印刷速度やインクコストを考慮して、他のタイプの複合機を検討する余地があります。
複合機の顔料インクと染料インクに関するQ&A
一般的な複合機ではトナーが使用されますが、インクジェット方式の場合は顔料インクや染料インクが用いられます。
顔料インクと染料インクに関連して、お問い合わせいただく質問を下記にまとめました。
- Q)顔料インクと染料インクのどちらがよいですか?
- Q)顔料系インクと染料系インクを混ぜてもよいですか?
- Q)キヤノンの顔料と染料の使い分けは?
それでは、回答とともにみていきましょう。
『Q1)顔料インクと染料インクのどちらがよいですか?』
使用目的や求める印刷物の特性によって異なります。
まず、顔料インクは耐久性や耐光性、耐水性に優れているため、長期保存を必要とする文書や重要な記録、アート作品などに向いています。
例えば、公式文書や契約書、写真などを長期間保存する必要がある場合は顔料インクを使った印刷がおすすめ。顔料インクは紙の表面にインクが付着するため滲みにくく、シャープで精密な印刷が可能です。
ビジネス文書やレポート、詳細なグラフィックが求められる場合にも向いています。
一方、染料インクは冒頭でも解説したとおり、色鮮やかで発色が非常によく写真やカラフルな印刷物におすすめです。
染料インクは紙に染み込むことで色が表現されるため、色合いが豊かで美しい印刷が可能。コスト面でも顔料インクに比べて安価であるため、家庭用プリンターやコストパフォーマンスを重視する場合にも便利です。
そもそも染料インクは乾燥が速く、すぐに印刷物を扱いたい場合にもおすすめ。ただし、耐久性に関しては顔料インクに劣るため、長期保存が求められる用途には不向きです。
結局のところ、顔料インクと染料インクの選び方は、印刷物の目的や保存期間、印刷品質、コストをどのようにバランスを取るかにかかっています。
長期間保存したい場合や耐久性を重視する場合は顔料インクがおすすめで、短期間で鮮やかな色合いが求められる場合やコストを抑えたい場合は染料インクが選ばれることが多いです。
『Q2)顔料系インクと染料系インクを混ぜてもよいですか?』
顔料インクと染料インクを混ぜて使うことは避けるべきです。
顔料インクと染料インクはそれぞれ異なる性質を持っているため、両者を混ぜるとインクの特性が変わり、例えば黒の色合いが正常でなくなる可能性があります。
顔料インクは粒子が紙の表面に付着するのに対し染料インクは紙に染み込むため、これらを混ぜることで、インクの乾燥速度や発色、定着の仕方が予期しない形で変わってしまうことがあります。
その結果、印刷物の色が不自然に見えたり、品質が低下することが考えられます。
さらに、顔料インクと染料インクを混ぜると、プリンターのインクノズルやヘッド部分にインクが詰まる原因となります。
インクの粒子の性質が異なるため、ノズルを通る際にうまく混ざらず、インクが不均一に流れることがあります。
このような状態が続くとプリンター内部でインクが固まってしまい、プリンターの動作に支障をきたしたり最悪の場合、故障の原因となることがあります。
『Q3)キヤノンの顔料インクと染料インクの使い分けは?』
キヤノンのプリンターでは、印刷する用紙の種類やプリンタードライバーの設定に応じて、染料インクと顔料インクが自動的に切り替わる仕組みになっています。
ユーザーが自分でインクを使い分けることはできません。
この仕組みによって、印刷する内容に最適なインクが選ばれ品質が保たれます。
例えば、個人でも業務用でも使われるキヤノンのPRO LINEシリーズでは、PRO-S1が8色の染料インクを使用しており、写真などの色鮮やかな印刷に特化しています。
対して、PRO-G1は10色の顔料インクを搭載しており、耐久性や鮮明な文字印刷を最重視。さらに、キヤノンやブラザーの一部プリンターではカラー印刷には染料インクを使用し、文字の印刷には黒の顔料インクを使用するタイプもあります。
用途に応じて最適なインクを自動で選択してください。
さいごに|結局ビジネス用にはレーザー複合機が最強!
これまでインクの違い等をご説明してきましたが、やはりビジネスにはレーザー複合機一択です。
先ほど「顔料インクはレーザーに近い性質」と書きましたが、言い換えるとレーザーに近づけようとしている、つまりレーザー負けているんですね。
メーカーによる特徴もそれぞれ違いますが、一通り印刷原稿を比べましたが、やはりレーザーの方がダントツで綺麗ですね。
インクジェットで作った見積書だと、会社としての信頼がどうしても薄れてしまいますので、スタートアップの企業様には金銭的によいかもしれませんね。
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