複合機が軍事転用される可能性とは?中国の動向について考察!
中国の国家市場監督管理総局により2022年7月、日本を含む複合機の技術が軍事転用できる旨、策定された文書が注目されています。
本記事では、複合機の部品や技術が軍事転用される危険性について考察しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
目次
複合機で軍事転用される部品とは?その理由ついて解説!
複合機の中枢を担う部品の軍事転用の可能性が懸念されていますが、本当に複合機の部品や技術の軍事転用は可能なのでしょうか。
ここでは、本当に複合機の部品は軍事転用ができるのか、また軍事転用できると考えられる理由について解説します。
『複合機の部品は軍事転用ができる』
複合機の部品や技術は、軍事転用することが可能。
軍事転用が可能であると断言できる理由についての詳細は後述しますが、すでに軍事とは無関係な民生用の日本製品の部品や技術が軍事転用された事例が何件も報告されています。
例えば、2016年11月6日にウクライナのドネツク地域で墜落した、ロシア軍の偵察用ドローン「Orlan-10」には日本の中小企業の製品が使われていたことが判明。墜落した偵察用ドローンをウクライナの民間団体が解析したところ、ドローンのエンジンは日本の中小企業の製品が使われていたとのことです。
また2000年には、SCEJの人気ゲーム機のプレイステーション2に使われている技術がミサイルの軌道計算などへの軍事転用される恐れがあるとして,外国為替および外国貿易法上の「通常兵器関連汎用品」に指定されています。
そのため、複合機の部品や技術も軍事転用される可能性が高いと言えますし、すでに何らかの兵器に複合機の部品や技術が使われている可能性もあります。
『軍事転用できる理由とは?』
複合機の部品や技術が軍事転用できる理由は、プリンターやファックス、スキャナーなどのOA機器には機微技術が集中しているため。複合機はプリンターやファックス、スキャナーなどの機能が1つにまとめられており、特に機微技術が集中しているOA機器だといえます。
機微技術とは軍事に用いられる可能性の高い技術のこと。この機微技術には、武器製造に直接関わっている技術だけでなく、軍事転用されやすい民生用の技術も含まれています。
複合機の部品が軍事転用される可能性について考察!
前述したように、以前から民生用の日本の製品の部品や技術が軍事転用された事例がいくつか報告されています。
日本も手をこまねいているということではありませんが、アメリカなどと比べると日本は対策への動きが遅いのが現状。
中国政府が日本を含めた外国オフィス機器メーカーに対し、複合機などの設計や製造の全工程を中国内で行うよう定める新たな規制を導入する方針を発表したなか、日本はどのような対抗策を取るべきなのでしょうか。
ここでは、中国がどうしてこうした動きに出たのか、またそのような環境下で日本はどんな対抗策を取るべきなのか考察しました。
『中国の動向』
中国は外国の技術を買い、学びそして盗むことで、外国製技術への依存度を低下させるとともにその技術を自国に軍事転用する戦略を展開。
例えば、人民解放軍の関係者が海外の大学や企業との学術連携に紛れ込み、軍事転用が可能な先端技術を盗んでいたことが判明しています。
そうした中国に対してアメリカはオバマ政権時代より対応をとり始め、さらにトランプ政権で中国への対抗策を大幅に強化したことで今回、中国はこうした動きに出たのでしょう。
複合機メーカーは、自国の先端技術の塊である複合機の中枢を担う部品の設計や開発は国内で行い、単純な組み立てを中国国内の工場で行うことで、先端技術の流出を防いでいます。
しかし中枢を担う部品の設計や開発も中国国内の工場で行わなければならなくなった場合、先端技術が中国に盗まれる可能性があるため、それだけは避けなければなりません。
また今回の動きは先端技術を盗み軍事転用する目的だけでなく、先端技術が手に入れ、自国(中国)オリジナルの複合機を開発・生産させるという目的もあると考えられます。
中国は依然にも、中枢を担う部品の設計や開発を国内で行うようにして、国外の先端技術を自国の独自技術とした前例があります。
中国政府は2004年に車両製造に関する入札が行われた際、入札に参加した外国企業へ自国への技術供与と現地生産を求め応じない企業は排除する一方、協力的な企業のみ受注。
その技術供与と現地生産によって手に入れた先端技術を独自技術として車両関連の特許を米国で出願し、その技術で2015年にインドネシアの高速鉄道の入札で受注に成功しています。
それと同じことを、今度は複合機で行うつもりなのかもしれません。
『日本が取るべき対抗策は?』
経済で中国に大きく依存している日本。複合機の技術が中国で軍事転用されないようにするためにアメリカのような対抗策を日本が行えば、中国の大きな市場を失ってしまう可能性があります。
そのため、アメリカと同じ対抗策を行うのは困難と言っても過言ではありません。
しかし、このまま手をこまねいていては、高速鉄道の有事と同じ目に遭ってしまいます。
日本が取るべき対抗策として考えられるのは、生産拠点の中国から撤退し、国内回帰することでしょう。
さいごに|複合機が軍事転用される可能性!
今回は、複合機が軍事転用される可能性と中国の動向について考察してきました。
中国の国家市場監督管理総局が「情報セキュリティー技術オフィス設備安全規範」と呼ばれる策定を進めるなか、世界的にその対策に追われている現状がみられます。
本記事が、日本国内における複合機の技術が軍事転用される危険性について知りたい方の参考になれば幸いです。
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