ポストスクリプトとは?複合機の便利な機能を解説!
複合機で紙媒体へ出力をした際に、プリントが少しずれてしまっていたりパソコン上で見たデータとデザインが違って見えたりすることもあるでしょう。
また、同じデータを印刷したはずでも、印刷機の機種によって印刷結果が異なっていたといった経験をお持ちの方もいるかもしれません。
社内事務や経理などであれば多少のブレは気にならない場合がありますが、業種によっては大きな問題になってしまいますよね。
今回は、そんな悩みを解決する複合機の機能「ポストスクリプト」について、詳しく解説しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
目次
ポストスクリプトとは?複合機のどんな機能なの?
そもそもポストスクリプトとは一体何なのでしょうか。
業種によってはご存じの方もいるかもしれませんが、ポストスクリプトとはプログラミング言語の一種で、複合機に対してデータを印刷する際の指示を出す技術です。
PostScript(ポストスクリプト)は、アドビが開発している、1984年に発表したページ記述言語。
スタック指向型のプログラミング言語で、様々な計算・処理と共に描画命令を実行することができる。
引用:Wikipedia
この技術によって、どの複合機を使用してもデータが同じなら同じプリント結果を得ることができます。
まずは、このポストスクリプトとは何かを詳しく紹介します。
『Adobe社開発の正しく印刷するための「ページ記述言語」』
ポストスクリプトとは、Adobe社が開発したページ記述言語のこと。このポストスクリプトは、同じくAdobe社が開発したイラストレーターやフォトショップにも使用されています。
このプログラミング言語によって、クオリティの高いデザインを表現することが可能。通常の印刷機ではこの言語を理解できないため、文字は文字、図は図として取り込みます。
その結果、機種によって印刷結果が異なったり、表現したいデザインをうまく出力できないことに繋がってしまいます。
しかし、ポストスクリプト対応の複合機を使用することで解決可能。
ポストスクリプトによって複雑なデザインを形成しているプログラミング言語を理解できるため、プリントアウトした場合でも忠実に表現することができます。
さらに、高解像度の美しいデータを少ないデータ量で印刷することができるため、パソコンの処理能力に依存することなく出力することできるでしょう。
『OSに左右されずに印刷可能』
ポストスクリプトとはなにかを理解できましたね。それでは、複合機でポストスクリプトを使用するメリットを解説しましょう。
ポストスクリプトのメリットは、どんなOSでも綺麗に印刷できることです。
代表的なものはMac OSを使用している場合。実は、複合機はWindows OSを想定している機種が多く、Mac OSでは互換性が低いため印刷できないケースがあるのです。
さらに、Mac OSはポストスクリプトをデフォルト搭載しているため、Mac OSを使っている方にはポストスクリプトが搭載された複合機の使用をおすすめします。
『ポストスクリプトが高品質な理由』
ポストスクリプトは、印刷したいと思っている画像やファイルをベクター画像として処理します。
これによって高品質が保たれています。
言葉がむずかしくなりましたので、ベクター画像について簡単にお伝えします。
画像データを印刷しようとした場合、まずはパソコンから複合機へデータを送り、複合機が印刷するという流れが一般的なイメージですよね。
このとき、画像は画像、文字は文字というような形で処理されるため、拡大印刷などをすると線が荒くなったり、比率が崩れたりしてしまう可能性があります。
印刷したい画像やファイルをポストスクリプト形式で保存しておけば、データ内の画像は数式で処理されることになります。
境界線や塗りの色などが数式で構築されているため、サイズが変わったとしても再計算することができ、品質に影響を及ぼすことなく拡大や縮小ができるのです。
『ポストスクリプト対応複合機と非対応複合機の違い』
ポストスクリプトファイルを印刷しようとした場合に、ポストスクリプトに非対応の複合機やプリンターでは印刷することができません。
この理由は、前項でお伝えしたとおり、ポストスクリプトは画像や文字を数式で保存しているからです。
数式のデータを複合機に送っても、画像として認識することができないという考え方でいてもらえばOKです。
そのため、複合機側がポストスクリプトファイルを認識できる必要があります。これがポストスクリプト対応複合機となります。
ポストスクリプトファイルの印刷でパソコン側のスペックに依存しないというのは、数式としてのデータを再計算する作業を複合機側が行うからです。
これが、パソコンのOSに影響しない、パソコン側のスペックを要求しないというポストスクリプトの魅力です。
『他のページ記述言語』
ページ記述言語には他にもさまざまなものがありますが、今回は比較のためにPCLの解説をしていきます。
PCLプリンターは、パソコン側で処理された印刷ジョブを受け取って印刷するという形式です。
そのため、印刷側であるPCLプリンターは性能面では低いものの、小型で軽量、値段も手頃というメリットがあります。
ごく一般的な家庭用インクジェットプリンターなどが、PCLプリンターです。
性能面が比較的低いので、印刷ジョブが途中で止まってしまうことがあります。使ったことのある方なら一度は経験しているのではないでしょうか。
原因はプリンターのメモリ不足の可能性が高く、品質の高いものやファイルサイズの大きなものを印刷しようとすると発生します。
高価で大型なポストスクリプトか、性能面で見劣りするが安価なPCL、どちらがいいかは使う環境によります。
複合機のポストスクリプトはどんなオフィスに必要?
ポストスクリプトとは、パソコンで作成したデータを正確に印刷してくれるページ記述言語でしたね。
これは、一般的な企業にとっては少々オーバースペックともいえます。
ポストスクリプトが必要とされるオフィスには、下記の2つが挙げられます。
- 印刷物が多いオフィス
- デザインなどを手掛けているオフィス
それでは、詳しくみていきましょう。
『印刷物が多いオフィス』
まず、複合機での印刷物が多いオフィスにおいてポストスクリプトは広く活躍してくれます。
データがポストスクリプト言語で作成されているため、大量の印刷を行う際にもパソコンの性能に依存せず、素早い印刷が可能。
また、オフィスに複合機がいくつかある場合でも印刷結果が統一されているため、どんなときでも想像通りの資料を作成することができるのです。
一般的な企業ではあまり有効ではないとはいっても、より美しい資料を出力できれば、営業先でも自身を持ってプレゼンに望めるかもしれません。
もし、現在使用している複合機にポストスクリプト機能がついていなければ、導入を検討してみるのもよいのではないでしょうか。
『デザインなどを手掛けているオフィス』
次に、デザインなどを手掛けているオフィスです。
これは想像がつきやすいかと思いますが、デザイナーの仕事にはデジタル上の作業だけでなく、紙媒体で披露する必要のある作業も存在します。
その際にパソコン上で見たデータと出力したものに差異があれば、もちろん大きな問題となってしまいますよね。
また、デザイナーはAdobe社のイラストレーターやフォトショップを使用している方や、発色の面や得意な処理能力からMac OSを使用している方が非常に多い業種。
そのため、今までご紹介してきたように、複雑な表現に対応可能で、どんなOSでも使用できるポストスクリプト搭載の複合機が必須ともいえるオフィスでしょう。
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ポストスクリプトエラーが発生した場合の対処法を紹介!
ポストスクリプトエラーは、印刷作業中に発生する可能性のある問題の1つです。
ここでは、その原因と対処法について詳しく説明します。
ポストスクリプトエラーが発生すると印刷作業が中断されるため、作業効率は大幅に低下する可能性があります。
エラーの原因を理解し、問題解決に挑んでください。
『ファイルそのものに原因がある』
ファイル自体に問題がある場合、そのファイルを印刷しようとするとエラーが発生します。
この場合は元のファイルをコピーして、新しいファイルで再度印刷を試してみてください。
『アプリにエラーがある』
アプリケーションに問題がある場合、そのアプリケーションから印刷を試みるとエラーが発生します。
他のファイルを印刷してみるなどして、原因を探っていきます。
アプリに問題がある場合、アプリケーションを一度アンインストールした後に再度インストールしなおす、もしくはバージョンアップすることで問題が解決する可能性があります。
『システムにエラーがある』
システム全体に問題がある場合、どのアプリケーションから印刷を試みてもエラーが発生します。
主なシステムエラーは以下の通りです。
- システムファイルのエラー
- ネットワークの問題
- ハードディスクの問題・または容量不足
- ドライバーのエラー
- フォントの破損 など
そして、これらの対処法として挙げられる内容が下記の通りです。
- ネットワーク接続用のケーブルを交換する
- ハードディスクの容量を整理する
- 別のプリンタードライバーを使用してみる など
それでも改善しない場合にはコールセンターに問い合わせたり、保守契約の会社に相談してみてください。
さいごに|複合機のポストスクリプトはユーザーに嬉しい機能!
ポストスクリプトは、Adobe社が開発したプログラミング言語と聞くと難しく聞こえてしまいます。
しかし、実際には、ポストスクリプト対応のパソコンと複合機に印刷を任せるだけ。
複雑な設定をしなくてもプログラムが自動でパソコン上で見るデータと同じものを紙媒体に出力してくれる、非常に便利な機能なのです。
デザイン系のオフィスではなかったとしても持っていて損はない機能なので、お持ちの複合機に搭載されていなければ、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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